始幻想 - めらみぽっぷ/凋叶棕
東の野に陽炎の立つ見えて ひとり
かえりみる己の姿その長き影よ
陽の出 暗きものども掃われて ふたり
貴女の 差し伸べるその御手の
何処へ誘う
遠くへ 遠くへ さは
この命の果たせるまで
彼方へ彼方へ聞け
いつか来る全てうたうもの
よろづのことのはを
はるかはるかとおき野には
未だ容知らぬものが
暗き夜に潜むものが
数多数多棲まうという
相互い分かたれぬもの
未だその名を持たぬもの
その始幻想へと
いつかこの手届くのか
何もがそこより
いさよいさよふ波の行方
何処も知らぬ雲の狭間
絶えず流るる水の輪郭
そは 幻
幾多の朝を迎えるように
己が影の溶けゆくように
あれなるものと混じ淆るように
そは 幻
何より そこへと
あらたな次代のうた
その命の尽きせぬまま
終わらぬ覚悟を持て
いつか来る全て記すこと
よろづのことのはに
己の命を奉げて
その名を重ね繰り返し
その始幻想へと
辿りつくことの叶えば
そのときその身をなんと呼ぶ
人の身を纏う幻
何よりも耀るき場所で
その手を影に翳して
何もがそこへと